2013年07月07日

『百』感想

色川武大作『百』(新潮文庫,ISBN:978-4-10-127003-6)を読みました。
表題作の「百」は川端康成文学賞受賞作で、他に「連笑」、「ぼくの猿、ぼくの猫」、「永日」の三作が収録されています。

私は普段、日本の作家の作品はほとんど読みません。
が、色川武大の作品だけは例外で、著書の八割くらいは揃えているのではないかと思います。
小説を書く時の、私の文体もかなり影響を受けているかと。

『百』は大学時代から読みたいと思っていたのですが、どの書店にもなく、読めていませんでした。
ひと月ほど前に別の本(ヘルマン・ヘッセの『荒野のおおかみ』)を探して紀伊國屋書店に行ったところ、『百』が置いてあって、ついに手に入れました。やったー。

やっぱり、本は書店で買うのが好きです。
書架に並んでいるのを見つけた時の喜びはひとしおですね!

インクのにおいのせいか、トイレに行きたくなりますけど。


posted by ちんぺい at 23:59 | Comment(0) | 読書感想文

2013年07月06日

ジョン・ドウ牧師逮捕

今日未明、ジョン・ドウ牧師が路上を全裸で徘徊していたところ、住民の通報により駆けつけた警察に公然猥褻の現行犯で逮捕された。

ジョン・ドウ牧師は礼拝での説教を終えた後、説教壇の階段の手すりを滑り台のようにして下りることで有名。
一世を風靡したが、近年はそれもマンネリ化して話題をひそめていた。
昨年になって、話題作りのために、十字架をスリング代わりにして飛んでいる野鳥を落とす芸を信者の前で披露するようになったが、これがプロテスタント教会や動物愛護団体からの批判を招き、牧師の職を失っていた。

取り調べに対し、ジョン・ドウ牧師は「裸になったことは認めるが、猥褻目的ではなかった」などと容疑を否認している。
警察では今後、ジョン・ドウ牧師の精神鑑定を含めて責任能力の有無を慎重に調べていく。

深層心理に迫る!
posted by ちんぺい at 20:29 | Comment(0) | こんな夢を見た

2013年07月05日

白眉の善男と黒髪の悪女

 バックミラー越しに、一台の車が見えた。
 赤いポルシェだ。
 左ハンドルを握っているのは、長い黒髪の女。
 私はそれが悪女だと知っていた。
 私は舌を打ってアクセルを全開にした。もっとも、悪女を引き離したのはほんのわずかな距離で、悪女の方も車を加速させてぴたりと追跡してきた。
 どこまでも続くハイウェイで、カーチェイスが始まった。
 キリキリとアスファルトの上で磨耗する音が、悲鳴のように運転席に鳴り響いていた。
 私が運転する車の後部座席の下でうずくまっていた男が、リアガラス越しに後方を確認しようとして、するすると頭をもたげた。
 この男は、どういうわけか髪の毛は黒々として若々しいのだが、眉毛だけが老人のように白かった。
「頭を低くしていろ!」
 私が声を張り上げた直後、銃声が二つ聞こえて、リアガラスに同じ数だけの風穴があいた。
 銃弾の一発はそのままフロントガラスをも貫通して、車よりも遙かに速いスピードで前方に消えていった。もう一発はシートに食い込んだようだった。
 白眉はびくりとして、すぐに身を小さくした。
 ハイウェイは、ちょうど大河の真上に差し掛かったところだった。
 チャンスは今しかない――、と私は思った。
 それまで、悪女の車から放たれる銃弾を、巧みなハンドル捌きで右に左に躱していた私だったが、折りしもタイヤが撃ち抜かれ、私の車はスリップして停車した。
 それで、私は覚悟を決めた。
 助手席に置いていた波動砲射出装置を肩に担いだ私は、前方に狙いを定めてぶっ放した。
 青い光の帯が直進した先にあったハイウェイの左端のフェンスが綺麗さっぱり消滅した。
「ドアを開けろ! 飛び降りるんだ!」
 私は白眉に命じてそう言った。
 白い眉が驚いたように跳ね上がった。
「この高さからですか!? 死んでしまいます!」
「だが、何パーセントかの確率で助かるかもしれん。銃弾に立ち向かうよりも遙かに確率は高いぜ」
「――わかりました」
 白眉は頭を低くしたまま、左のドアを開けた。
 なおためらう白眉を叱咤するように私は言った。
「生きろ! 飛び降りるんだ!」
「ええい、神よ!」
 白眉は自らを奮い立てるように声を上げると、ハイウェイの端から跳躍した。
 悪女は急ハンドルを切り、車に乗ったまま白眉の後を追って飛び込んでいった。


 大河が立てる波音をかき消して、機関銃の音が鳴り響いていた。
 立ち泳ぎをしながら機関銃を撃っているのは白眉である。
 悪女も水の中にいて、水面に浮かぶ車を橋頭堡にして白眉の説得を試みていた。
「抵抗はやめるのよ。あなたは私からは逃げられないわ」
「黙りなさい! あなたは悪い女です!」
「そうよ。でも、あなたは善い男だわ」
「いいえ、そんな言葉は聞きたくありません!」
 白眉は悪女の言葉を遮るように、機関銃を撃った。
 それでも、悪女には当てないように細心の注意を払っているようだった。
「無理よ。あなたに私は撃てないわ」
「なぜ、そう思うのです――?」
「私はあなたをためらいなく撃ち殺せるから」
「――」
 悪女は、ちゃぷん、と音を立てて水中に潜り、一度、姿を消した。
 次に姿を現した時、悪女は白眉の腕の中にいた。
「あなたは私を愛しているのね。だから、私はあなたを愛さない。あなたは私にすべてを与えてくれる。だから、私はあなたに何も与えない。それでも、あなたは私のためにだけ生きるの。私はあなたのためには生きないけれど。それで私たちはイーブン。あなたと私はそういう関係よ。これまでも、これからも。永遠にね。かわいそうな人――」
 悪女は慰めるように、白眉の頰を撫でた。
 白眉は、結局、悪女を強く抱きしめていた。
「ああ――。また、こうなってしまった」
 白眉は嘆いたが、彼はそれで幸せだったのかもしれない。

深層心理に迫る!
posted by ちんぺい at 23:03 | Comment(0) | こんな夢を見た
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