2013年07月09日

『ビリー・バッド』感想

メルヴィル作、坂下昇訳『ビリー・バッド』(岩波文庫,ISBN:4-00-323084-1)を読みました。

『白鯨』が面白かったので、紀伊國屋書店で『百』と一緒に買っていたのですが、積ん読していました。
メルヴィルの遺稿ですが、推敲段階の原稿のようで、物語としては結末まで書かれています。
ほぼ完成された原稿ですので、未完の作品を敬遠されている方でも、結末を知れずに煩悶することなく読むことができるかと思います。

ビリー・バッドも『白鯨』同様、海洋小説です。
そういえば、ロマサガ1の港町に「メルビル」というのがあって、ロマサガ3にも「ハーマン」(メルヴィルのファーストネーム)という海賊が出てきましたが、開発チームにファンがいるのでしょうかね。

以下、ネタバレ注意!

さて、この『ビリー・バッド』ですが、よい作品でした。
岩波文庫版では、表紙の説明に物語の梗概がほぼ書かれているので、ここにも書いてしまいます。

軍艦に乗り組むことになった善良なビリー・バッドは、邪悪なクラッガート兵曹長の讒言によって無実の罪にきせられてしまいます。
ビリー・バッドは吃音症があり、ヴィア艦長の前でこれを質され、申し開くことができずに、その場でクラッガートを殴り殺してしまいます。
ヴィア艦長は、ビリー・バッドの無実を察しながらも、軍紀を守るために彼を絞首刑にかけるでした。

ビリー・バッドの最後の演出が素晴らしかったです。
それは、ここに書かずにおきましょう。

エピローグにあたる官報の中で、撲殺がナイフで刺殺したことになっているのは意図的でしょうか。
現代で言えば、マスメディアが事件の容疑者の性格に尾ひれをつけて事件の凶悪性が強調されるかのごとく。

それにしても、なぜメルヴィルは存命中に評価されなかったのでしょうね。
今、読んでも他にない作品だと思うのですが。

メルヴィルの作品は、あと『幽霊船』を持っていて、まだ読んでいません。
次はこれを読もうかと思っています。


posted by ちんぺい at 23:59 | Comment(0) | 読書感想文
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